死体探しの冒険
冬アニメで『宇宙よりも遠い場所』という作品が放送されている。内容をかいつまんで説明するとこうだ。
主人公のマリは、高校生になったらなにかを自分でやり遂げたいと思っていた。けっきょく行動に移せないマリだったが、同級生の報瀬に心を動かされる。報瀬は南極で亡くなった母が見た景色を見るために、南極へ行きたいと言うのだ。高校生にして南極行きに並々ならぬ情熱を注ぐ報瀬を羨ましく思ったマリは、報瀬に誘われる形で南極行きへと歩を進めることになる。
僕が連想したのは『Stand by Me』だ。スティーブン・キング原作のこの映画は、アメリカの片田舎に住む高校生たちが死体を探しに線路を辿っていく冒険物語だ。この物語で重要なのは、一夏の冒険を仲間四人と経験し、そのあと離散しても忘れることのできない一生の宝物となったと言える点だ。
『宇宙よりも遠い場所』も、南極に行くという目的の元になんとなく集まった4人が物語の中核を担う。緩やかな人間関係からスタートする南極への冒険は一生の宝物になるだろう。そして彼女たちは冒険を終え緩やかに離散していき、大人になった後に時折冒険の1ページを思い出すに違いない。僕は本作にそういう物語を期待してしまうのだ。