okamurashinnのブログ

表象文化論、アニメーション、キャラクター文化、現代美術に興味があります。

『HELLO WORLD』レビュー

フラクタル構造のように無限に分岐する京都。 その可能世界の一つが主人公・堅書直実だった。 本作は、一人の人間が選択する行動によって分岐する世界を描写している。 最近のアニメ作品では、『彼方のアストラ』(2019)が近いテーマを掲げていた。生物学的に…

"Violet Evergarden Gaiden -Eternity and the Auto-Memory Doll" review

@Shinjuku Piccadilly The animation “Violet Evergarden” (2018) (hereinafter called “VE”) is a story that a former girl soldier touches the hearts of various people through letter writing and finds many emotions. Through her encounters, she …

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動式手記人形-』レビューver.1

ネタバレを含みますが、何より作品をご覧になった方に読んでもらいたいレビューです。ご留意ください。 公開日、新宿ピカデリーにて。次作予告のあとには拍手が起こった アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2018)(以下、『VE』)は、元少女兵が手紙…

宇治がつなぐ風景

先日、宇治に行ってきた。彼の地で掴んだものがあったので、京アニについての文章の続きを書こうと思う。 2013年春の京アニ本社 京アニとの出会いは「京アニはいつも僕の隣にあった」で書いた通りだ。「京アニネイティブ世代」の僕は、ごく自然な成り行きで…

京アニはいつも僕の隣にあった

僕が京アニの作品を初めて見たのは2008年頃、中学生のときだったと思う。そのとき僕が見たのは『涼宮ハルヒの憂鬱』だった。日常に隠された非日常をめぐる青春譚は多くの若者をときめかせ、そのダンスは社会現象を引き起こしたとも言われている。例に漏れず…

話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

たまたまTwitterで見かけた新米小僧さんの企画が面白そうなので、年末総決算としてエントリー書いています。ルールは以下の通りです。 ※追記(’18/12/30) 『色づく世界の明日から』#06→#13「色づく世界の明日から」に変更しました。 ルール・2018年1月1日~…

『心が叫びたがっているんだ。』レビュー

『心が叫びたがっているんだ。』は2015年A-1 Pictures制作の劇場版アニメーション。『とらドラ!』、『とある科学の超電磁砲』、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(以下、『あの花』)、『あの夏で待ってる』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェ…

『リズと青い鳥』公開初日レビュー

『響け! ユーフォニアム』の外伝的な立ち位置である、映画『リズと青い鳥』(以下、『リズ』)が4/21(土)に公開された。筆者も期待に胸を踊らせ、本日朝一番の回で見てきました。その興奮のままに、本作の簡単なレビューをしようと思う。ネタバレ記事になり…

アニメにおける涙-『響け! ユーフォニアム』をめぐって(前編)

先日、アニメ『響け! ユーフォニアム』(以下、『響け!』)の1期と2期を通して見たので、ちょっとしたコラムを書こうと思う。 まず最初に、簡単な作品説明をしたい。『響け!』は武田綾乃による小説『響け! ユーフォニアム』を京都アニメーションがアニメ…

友情と離別の物語-『宇宙よりも遠い場所』レビュー

2018年1月から放送が開始されたアニメ『宇宙よりも遠い場所』(以下、『よりもい』)。本作は『さくら荘のペットな彼女』や『ハナヤマタ』で監督を務めたいしづかあつこが監督、『中二病でも恋がしたい!』や『ラブライブ!』、『響け! ユーフォニアム』な…

『さよならの朝に約束の花をかざろう』はなぜファンタジーとして描かれたのか。

『さよならの朝に約束の花をかざろう』(以下、『さよ朝』)は岡田麿里が初の監督として制作したアニメ作品だ。近年の『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や映画『心が叫びたがっているんだ。』のような代表作にも見られるように、岡田は人と人と…

芸大卒展

3年ぶりくらいに芸大卒展に行った。あいにくの雨だったけど、会場は美術系展覧会にも関わらず若い人がとても多くて驚いた。やはり卒展は関係者含めて、若い人多めなのかも。 久しぶりの展覧会であることに加え、尋常なく寒く、早期撤退を心に誓いながら芸大…

『ネト充のススメ』

前期で見ていた『ネト充のススメ』を見終わったのでまとめとコメントを。 森子や優太の現実世界のしがらみと切り離された空間としてのネトゲを愛する姿勢が色濃く出ていた。リアルを知らないからこそ気軽に接することができる匿名性のいいところが出ていた反…

代わり映えしない日常を打破する力

『宇宙よりも遠い場所』、忘れないうちに4話のこと先に書こうと思う。 4話のテーマは行き先を決める、だ。1話では目的も定まらず、ただなにかやりたいという漠然とした思いしかなかった。このままではほとんどの日々を凡庸に過ごす高校生と何も変わらない。…

死体探しの冒険

冬アニメで『宇宙よりも遠い場所』という作品が放送されている。内容をかいつまんで説明するとこうだ。 主人公のマリは、高校生になったらなにかを自分でやり遂げたいと思っていた。けっきょく行動に移せないマリだったが、同級生の報瀬に心を動かされる。報…