okamurashinnのブログ

表象文化論、アニメーション、キャラクター文化、現代美術に興味があります。

『ネト充のススメ』

 前期で見ていた『ネト充のススメ』を見終わったのでまとめとコメントを。

 森子や優太の現実世界のしがらみと切り離された空間としてのネトゲを愛する姿勢が色濃く出ていた。リアルを知らないからこそ気軽に接することができる匿名性のいいところが出ていた反面、その匿名であるはずの二人が実名を知ってしまうことのロマン、悪く言えばご都合主義の側面が強い作品となっている。

 ネット上ではリアルの姿を知らないからこそ遠慮なく接することができる場面が多い。この二人はお互いに実名を知ってしまったことで、ネトゲでは今までのような付き合い方は難しくなるのではないかと思う。二人はお互いをリアルでしっかりと認識することでリアルでの交流が増していくのではないか。そうすると、ネトゲは出会いの場としての役割を果たしたにすぎない。個人的には、ネットの匿名性を活かした緩やかなつながりをもう少し上手く伝えているとより魅力的な作品になるのではないかと思う。
 そこで出てくるのが『君の名は。』だろう。この作品はお互いが入れ替わることで匿名性を保ちながらも対話を重ねていくことで、人と人とのネット上のような緩やかな交流を描けているのだ。